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18 07 31 Tue

対談:山中未久&土屋未来 アスリートとGライフスキル【前編】

前編:女子相撲の未来を担うアスリートとGライフスキルとの出会い

立命館大学の職員であり、全日本女子相撲郡上大会軽量級7連覇、全国選抜女子相撲大会軽量級では5連覇、さらに世界相撲選手権大会軽量の部での優勝と、輝かしい成績を収める山中未久さんは、2018年よりg-zoneでGライフスキルを取り入れながら、日々の稽古を行っています。彼女がGライフスキルと出会ったきっかけとは、またGライフスキルを実践することで、どのような変化が起きたのか。山中さんと共にGライフスキルの考案者でもあり、山中さんのコーチでもある土屋未来さんを交えて対談を行いました。

聞き手:鷲巣謙介

Gライススキルとの出会い。

―山中さんは2017年までに女子相撲大会、世界相撲選手権大会などで優勝を果たしています。こうした中で、Gライフスキルを取り入れ、実践しようと思ったのはなぜですか?

山中:実は2017年に病院にかかった際、処方された薬の中に入っていた成分がもとでドーピング検査に引っかかってしまい、一年間の競技の停止処分を受けてしまったんです。その期間中は、大会出場はもちろん、選手との稽古もできません。一年後の復帰を見据えるにしても、それまでの長い期間をどのように過ごせばよいかに不安を感じていた所、立命館大学相撲部の関係者を通じて、g-zoneを紹介していただき、土屋先生と出会ったんです。

土屋:初めて出会った山中さんは、本当にショックを受け、動揺していましたからまず安心させることが大切だと感じました。そこで「一年間、やるべきことをきっちりとやっていれば、さらに強くなることもできる」と声をかけたんです。人は暇になったり、やることがなくなってしまうと、どうしても悪い方に意識が向いてしまいます。そこで一年間、暇を感じる隙もないほどにトレーニングや指導をしていこうと決心しました。

Gライフスキルの基本は自分の身体を知ること

―g-zoneに通い始めてから指導を受けトレーニングをすることによって、山中さんの意識や技術はどう変わっていきましたか?

山中:一番大きかったのは、「自分の身体が理解できたこと」ですね。
相撲は、現在でも昔からの伝統的な稽古方法を行っているんです。私は子供の頃から相撲だけをしてきましたから、g-zoneに通い始めるまでは、科学的な体の動かし方などに関してほとんど知らなかったんです。
実際に、指導を受ける中で、自分の持っている技術を活かすためにはどういった身体の動かし方をすればよいのか、自分の動きが悪い時には何が原因でどう修正すればよいのかを、根拠を持って知ることができたのが大きな収穫です。

土屋:g-zone のGライフスキルの最も重要な所は、トレーニングにおいても食事指導においても「自分の身体を知る」ことにあるんです。
自分の身体を知ることができれば、自分の弱い所もわかってきます。いくら高い身体能力や技術を持っていても、コンディションによっては十分にその力を発揮できないこともあります。そんな時に「なぜ自分は勝てないのか」「自分の身体に何が起こっているのか」という根拠をもって理解することは、アスリートにとって重要なことなのです。

食事制限も含めた日々の生活の改善も大切な自己管理

― Gライフスキルは、トレーニングだけでなく食事や生活習慣の改善なども視野に入れていると伺っていますが、どのような指導を受けましたか?

山中:減量方法や食事に関しては大きく変わりました。
以前は、試合前までにただ体重を落とせばいいと考えていたので、減量の仕方もめちゃくちゃ。多分、身体にも大きな負担がかかっていたし、試合でのパフォーマンスにも影響があったと思います。
g-zoneでは、試合の一週間前には体重の調整ができているようにと指導されましたし、それ以前に一ヶ月、一週間、一日と細かな計画を組んで、食事やトレーニングの目標を立てることを学びました。

土屋:私が彼女に「いつも何を食べているの?」と聞いたら、なんと「毎日野菜炒めを食べている」と。山中さんは野菜も肉も食べなければいけないことは分かっていたのですが、料理の仕方がわからないのでいつも同じメニューだったんです。
同じ野菜でも炒める、煮る、蒸す、焼くと調理の仕方によって、食べられる量や吸収される栄養は異なります。野菜炒めは油の摂取が多くなってしまうので、まずは栄養の話を伝え、自分で料理が作れるよう蒸し器をプレゼントしました。

社会人アスリートに大切なもの

山中:私の出場停止期間は一年間ですから、本当は不安が大きかったんです。
それに食事制限やトレーニングのみを行う毎日は、試合結果のような成果が見えづらく、モチベーションも下がりがち。
そんな時に、日々の小さな目標を立て達成していくことを土屋先生に指導していただいたんです。そのおかげで、余計な不安に駆られることなく常に目の前やるべきことに目を向け、一年間集中し続けられたのだと思っています。

土屋:私の指導方法は、細かく言わないこと。
食事だって、1日3回、365日ガチガチに計画を立ててしまっては、続けられません。特に山中さんを始めとした社会人アスリートは、飲み会もあるだろうし、付き合い上外食をしなければならない時もある。
目の前の試合だけでなく長期的なアスリート生命、その先にある人生を考えた時に大切なのはトレーニングも食事も、その内容を自分で理解し日々の中で無理なく実践していくことなんです。
それができないと、社会人アスリートは強くなれない。
飲みすぎたり食べすぎたりした次の日は、どうしても体がむくみますから、そうすると十分な結果を出せません。その時に、次からどうすべきか、日々の中でそうバランスをとっていくかに気づき、自分で対処できることがGライフスキルの目指すべきところ。“ライフスキル”とは「よりよい毎日を送るための技術や能力」のことなのですから。山中さんは、一年間よく頑張ってたくさんのことに気づくことができたと感じています。

後編につづく