Interview
18 10 26 Fri

対談:田代凪沙&土屋未来 自ら考えコンディションを整えるアスリートへ

2012年、中学3年にしてサーフィンの全国選手権大会に優勝。翌2013年、高校1年でプロ資格を取得、2014年には日本プロツアーでグランドチャンピオンとルーキーオブザイヤーを獲得。翌年も同ツアーを制覇するなど、現在破竹の勢いで活躍するプロサーファー田代凪沙さん。彼女も2017年から Gライフスキルを取り入れ自らのコンディション調整などを行っているアスリートのひとり。

日本屈指のプロサーファーが、Gライフスキルのアドバイスを求めた理由とは?
前回と同じくGライフスキルの考案者であり、田代さんに食生活をはじめ、ライフスキル向上の指導を行っている土屋さんを交えて対談を行いました。

聞き手:鷲巣謙介

Gライフスキルに出会ったきっかけ

―田代さんは、これまで若くして数々の実績を挙げていらっしゃいます。このタイミングで、Gライフキルを取り入れようと思われたのには、何か理由があったんですか?

田代:今まではずっと“サーフィンだけ”をしていたんです。
ただ、海外遠征をするようになって食事面が特に不安を感じるようになりました。これまで家では母の作った料理を食べていて、自分で料理することはほとんどありませんでした。しかし、遠征先では外食するか自分で作らなくてはいけなんです。食事がパフォーマンスにつながることは知っているのですが、そもそも「何を食べたら良いのか」がわからない。
特に最近、少し自分でも伸び悩みを感じるようにもなってきていたので、本当になんとかしたいと思ってトレーナーに相談したところ、土屋さんを紹介していただいたんです。

土屋:連絡をいただいたトレーナーさんからは「すごく技術のある子だけど、そこからさらに強くなるためには何かが足りない」と伝え聞いていたんです。
実際にセッションをしてみると、確かに技術はあるのに食事や生活に関しては、何もしていないに近かったので、これはもったいないと感じましたね。
ただ、彼女はアスリートとして現在非常に多忙な時期です。本当に毎日違う国へ遠征しているような状態。日本に帰ってきたときは、顔を合わせてセッションをしますが、普段はLINEなどを使って報告を受けたりアドバイスをしています。

大事なのは自分のコンディションを知り、対処すること

 

―具体的にはどのような報告があったり、どういったアドバイスをしているのですか?

土屋:日々のコンディション管理に関する質問に答えることもありますし、食に関してもアドバイスしています。脂肪ができるだけつかない食べ物の選び方を教えることが多いですね。海外遠征の時などは、特に食べるものの選択肢が少ないようで、食べるものが「パンとパスタしかないですがどうしたら・・・」なんて連絡が来ることもありますから。

田代:土屋さんのアドバイスは本当に初めて知るようなことが多くて、かえって「今までどれだけ自分が自分の身体を知らなかったか」がよくわかりました。
食事やストレッチに気をくばるようになってから、「今日はちょっとむくんでるな」といったように、自分のコンディションがわかるようになったんです。
それと同時に、むくみをとってくれるバナナを食べるようにしたり、遠征中先でもパンを食べるのではなくて、食事でも水分を取れるようお米を持って行って自炊するようになりました。

土屋:それからストレッチも。むくみをとるストレッチの方法などを教えました。私と出会った頃は、本当にストレッチもせずに試合に臨んでいたと聞いたので。

田代:そうですね(笑)。今では自分の中でルーティンができました。
夜寝る前にストレッチをして、体重を計る。朝起きたらもう一度体重を計る。これだけで、前の日に食べたものが良かったか、また自分の体調がどうか、どう改善すべきかがわかるようになりました。

アスリートに必要なのは、自ら考えライフスタイルを組み立てていく姿勢

―土屋さんは、Gライフスキルと出会った後の田代さんの変化をどう感じましたか?

土屋:出会った頃と比べて、体脂肪も落ちて身体が締まってきましたね。
何よりも「自分で考える姿勢」ができてきたことが、大きな変化だと感じています。
これは、田代さんだけではなくて他のどのアスリートにも言えることですが、アドバイスやトレーナーの意見をそのまま実行するだけでは強くなれません。
トレーナーはつきっきりでアスリートの面倒を見るわけにはいきませんから、いつか選手自身が自立して、勝つための方法を組み立てて実践していく必要があるんです。

最初は田代さんも私から言われたことをこなしていましたが、途中からLINEなどの質問にも積極性が出てきて、そこに「勝ちたい」という意欲が見えてきたんです。
田代さんは20代。身体が軽い10代の頃よりも、日々のコンディション管理が一層重要になってきます。
このタイミングで自分で考え何をすべきかを理解してライフスタイルを組み立てられれば、きっと、どこに行っても勝てるアスリートになるはずです。

田代:私がGライフスキルのアドバイスを受けるようになって、一番変わったと感じたのは、試合前の不安がなくなったことですね。
自分が今どのような状態に置かれていて、何をしたらいいのか、その指針がわかったことで試合へ臨む姿勢も変わり、望むパフォーマンスができるようになってきたと感じています。

世界で活躍するプロサーファーであり続けるために

―田代さんのこれからの目標を教えてください。

田代:2020年のオリンピックに出ることはもちろん大きな目標ですが、まずは海外ツアーでトップになりたいと思っています。身体が大きくダイナミックな海外のサーファーに対抗していくためには、私の体格に見合った力のつけ方をしていく必要があると感じています。

土屋:Gライフスキルは、強くなるための下地なんです。
今、田代さんの中にはその下地が出来つつありますから、今度は次の段階へ進んで行ってほしいですね。
サーフィン歴の長いg-zone FITNESSの荒木がトレーナーとなって指導していますし、これから田代さんの活躍に期待が持てます!
ただ、彼女は、見た目通り優しい人なので、それがサーフィンのスタイルにも出ている気がするんです。これからはもっと強気で、ガンガン攻めていけるよう指導ができたらなと思っています。

田代:よろしくお願いします(笑)

  • 田代 凪沙
    1997年生まれ。父親の影響で8歳からサーフィンを始め、中学3年のときに全日本選手権で優勝。2013年高プロ資格を取得。2014年日本プロツアーにおいてグランドチャンピオン・ルーキーオブザイヤー獲得。2015年日本プロツアーグランドチャンピオン。
  • 土屋未来
    株式会社g-zone取締役。
    Gライフスキルファウンダーコーチ。カウンセラー。スポーツ医科学マスター。筑波大学大学院でスポーツ医科学(内科学)を修め、卒業後は日本産業カウンセラー協会で産業カウンセリングを学びカウンセラーとして活動を開始。多くの悩みや相談を受ける中で、心身の土台をととのえるGライフスキルを考案する。
  • 鷲巣謙介(つむぐarticles)
    ライター/プランナー。
    京阪神を中心に雑誌・Webメディアへ寄稿を行うかたわら、企業・自治体に向けたイベント企画・運営などを手がける。執筆分野はスポーツに始まり、歴史、科学技術、食など多岐にわたる。