つちやみきコラム
19 05 31 Fri

Vol.24 「今日から俺は」

私たちは色々なことをわかったつもりでいます。例えば、ある程度年齢が高くなる、仕事においてベテランになる、長く同じことをしている…なんだか全てわかったつもりで評論してしまう…これについて私自身も歳をとってきて気を付けなければなりません。すごいと言われている人がすごい人ではなく、すごいと感じた人をすごいと判断できていますか?

 

春になると、息子(中3)は春闘を始めます。学年が上がったからお小遣いの金額を上げてほしいと賃上げ要求です。先日、夫に

 

「もう、年功序列の時代は終わっているし、それは無理。俺が上げたいと思わなければ上げられないし、何不自由なく暮らせているだけで贅沢だ」

 

と言われていました。息子は父親のやり方に慣れていますから、どうしたらお小遣いが上がるのかを聞いていました。その1か月後、見事1000円のベアアップ成功です。

 

人間は動物の中でも一番形を変えてきた生き物です。それは、よりよくなろうとする人間の戦略です。他の動物は捕食するために脳より顎を発達させていたりしていますが、人間はよくなるために脳を発達させてきました。

 

私の尊敬する養老孟子先生がインタビューで言っていたことがあります。私たち人間は記憶で出来ている、と。人格もすべて記憶で出来ていますから「俺は俺」と言い続けている人は記憶でそう思いこませているのでしょうか。私はそんな人をみると心の中でシーラカンスと呼んでいます。進化する意思がないのでしょう。

 

人間は1歳半でやっと鏡の中の自分を自分と認識できるそうです。個として認識出来るのは1歳半以上ということになります。犬や猿も鏡の自分は中々わかりにくいそうです。

そう、赤ちゃんや動物には「同じ」という概念がないのです。

 

「あなたらしくない…」と安いドラマのようなセリフ。人は意外と「自分らしさ」に縛り付けられています。まあ、たいがい自分らしさのイメージは間違えている人が多いですが。

 

仕事で地位が出来たらそれを手放せなくなる人、このままでいいのかと葛藤する人…そう、何かに縛られて「同じ自分を演じ続けている」人は多いのです。

 

「あなたとは違う」とよく言われるセリフ。当たり前でしょ。同じなら怖いわ。

そして、私みたいな人がたくさんいたらまわりの人や社会が困るわ。

 

虫はサナギから幼虫に変態するときには、全部神経を張りなおすというダイナミックなことをします。そして、それはやめた方がいいと他の虫に口を出す虫もいません。

 

私もそろそろ神経を張りなおす時期です。

昨日の私は、今日の私と違う…動物界に同じなんて概念何一つないのですから。

なんだか知らないけれど、何かにこだわりすぎてウツウツしている皆さま。明日は違う人になってみませんか。私はどんなあなたに変わっても「いいねー」と声をかけますよ。

変われる勇気と行動を。これ、歳なんて関係ないですからね。